酔狂に猛走する、ユーモア本格ミステリの傾き者、推理作家・霞流一の公式サイト、「探偵小説事務所」へようこそ!



■ 首断ち六地蔵
July 25, 2002 5:37 AM


「地蔵の首のあるところ怪事件あり。[本格]魂が弾ける!」(帯コピーより)



文庫化されました。(光文社文庫/629円+税)
またエンタテインメントに通暁する識者の方々より嬉しい評価を賜りました。ここに深く御礼申し上げます。(霞流一)




「地蔵の首が現れるたびに起きる事件は6つ。そのうち5つが密室殺人というのも過剰だが、その6事件に合計30もの謎解きが付されている(つまりそれだけどんでん返しがある)というのも過剰。延々と続く推理合戦の果てに真相を指摘するのは誰か。カルト映画監督ロジャー・コーマン作品の結末よろしく迎えられる壮大なフィナーレは圧巻。読者は座り小便ちびってバカになるなよ!((c)古今亭志ん生)」
 (杉江松恋氏・「ダ・ヴィンチ」2002.10)


「まったく、こんなトンデモナイ黒幕が登場する連作長編は寡聞にして知りません。本書は、まちがいなく霞さんの代表作に数えられるでしょう」
 (佳多山大地氏・新評論「RALLY」(評論家と作家による往復電子書簡による)・「メフィスト」03.1)


「本格ミステリこれがベストだ!2003」(探偵小説研究会・編著/創元推理文庫/480円+税)で、探偵小説研究会が選ぶ2002年本格ミステリ・ベスト10の一作に選ばれました。


[解説] 奇蹟鑑定人シリーズ第三弾。この作品では魚間岳士ひとりが活躍し、相棒の天倉は出てこない。 豪凡寺という寺で六地蔵の首が切り落とされていたという報せを受けた魚間は、現場へ急行する。寺の隣にある廃墟となっている精神病院では、「ナースのはらわた」という映画のロケが行われていた。病院内の中庭で地蔵の首ひとつが発見された直後に、撮影のスタッフが殺害された。そのあと、首が発見されるたびに奇怪な殺人事件が起こる。地蔵の首が意味するものは一体何か。 魚間は、一連の事件の背後に新興宗教「浄夢の和院(じょうむのわいん)」の教祖が存在することを突き止める。  6つの事件は、仏教で言うところの六道「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天上」の見立てになっており、登場人物たちの推理の応酬は読み応えたっぷり。 この作品にはいつものテーマである「動物」が出てこないように見えるが、実はお地蔵様が身代わりとなって救って下さる、「人」そのものがテーマであるところがさらに異色である。


ミステリのトロ部分とでもいうところの解決編ばかりで構成された意欲作。全編にわたりおよそ三十回ものドンデン返しが展開される。最高傑作との世評も高い。 


[出版] 平成14年7月25日 光文社(→光文社文庫)
●ご購入はこちら

※写真をクリックすると拡大表示します。



 [ このエントリーのトラックバックURL]
http://www.kurenaimon.com/mt/mt-tb.cgi/6380