本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
晩飯を食いながら、「行列の出来る法律相談所」を観る。この番組、もはや、法律ネタのシーンはオマケみたいなもんになっておるな。
弁護士も出演しているトークバラエティ、って感じだ。
まあ、司会の紳介のエグい喋りが、高打率で笑わしてくれるもんだから、不覚にもチャンネルを合わせてしまう。ちょいと悔しい気もする。
ゲストのひとりがギャル曽根だった。
で、他の出演者たちと大食いを競うのが、番組のメインになっていた。
ホント、法律ネタはどこかに雲散している。
それにしても、このギャル曽根、最後まで、心底から美味しそうに食っていたのには、素直に感心させられた。
たいてい、大食いって、ガツガツむさぼり頬張る、実に見苦しいイメージだけど、
このコは何だかスキップしているように嬉しそうに軽やかに、いつのまにかたいらげている。
時折、天井を見上げて微笑む仕草が、大食の幸福感を如実に表現していた。
しかし、何度も言うが、法律ネタはどこに行ったんだ?
食い放題の店っていろいろある。
たいてい一定料金と時間が決まっているシステム。
一度、実に変わったルールの店に遭遇したことがある。
そのレストランは、ランチタイムがバイキング形式の食い放題。
基本料金が、先ず、10分で300円。
以降、五分超過するごとに100円加算される。
店の判断が甘かったな。
どんな客でも、ランチは最低、30分はかけるだろう、ってくらいの目算だったんだろうよ。
ところがどっこい、こういう有事、日本のサラリーマンのガッツはまさにガツガツのガッツだぜ。
ほとんどの客が、10分しかいない。
そのわずかの間に、親の仇のように、これでもかとバイキング料理を取ってゆく。
あれこれ悩まない。手当たり次第、目に付いたもの奪取するだけ。
料理は皿からはみ出て、トレイに山積み。
まるで、手を付けられていない残飯のよう。
それを、豚やレグホンのように脇目も振らずに貪り食うのだ。
なんせ制限時間10分(本人たちが勝手にそう決め込んでいるだけだが)、皿に口をつけ、ブルドーザーのようにスプーンで流し込んでいる。
両手を使っている輩も。
料理を取りながら、歩いたまま食いつつ、さらに、その上に、新たに料理を盛るという、永久運動している奴なんかもいる。
もう、店内は家畜小屋だよ、五倍速のゾンビも混じった。
ランチを楽しむ悠然さなんかどこにもない。殺伐としている。
そして、討ち入りのように激しく食っているので、料理が飛び散っていて、汚い。
10分ギリギリまで貪り、猛然とダッシュで店を出るから、大量の食い残しの皿なんかが散乱している。掃除や片づけが追いつかないんだ。
ランチに地獄絵があるとしたら、まさに、これだろう。
で、そのレストラン、一ヶ月も経たないうちに、ランチを中止にした。
しかも、半年も経たないうちに、閉店までしちゃったさ、ジャンジャン。
晩飯。蒸し暑いので、家内が冷汁飯をこしらえる。アジの干物をほぐして入れるというアイデアを凝らしていた。水餃子。
食い放題ではない。
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