本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
■ アカバネン・グラフィティ14
July 15, 2007 8:08 PM
「居酒屋はバクハツだ!」
赤羽駅の近くに、「バクヤク」(仮名)という立ち呑み屋がある。
古くからある店で、客筋は男衆ばかりの、なかなかブロンソンな雰囲気。
俺の親父もよく通っていた。
アルコール度が高いのか、飲みすぎたのか、はたまた両方なのか、
泥酔して家路の途中、服を一枚ずつ脱ぎ捨て、
ランニングシャツとズボンだけで帰ってきたことがある。
数十メートルおきにスーツ、ワイシャツ、ネクタイなどが落ちていて、親父の辿った足取りを語っていた。
で、話の主体は店の方。
そこの店主には息子が二人いて、
「バクヤク兄弟」と、
そのまんまだがアトミックにデンジャラスな名前で呼ばれていた。
兄貴の方が俺の同級生。
バクヤク兄弟、ふだんは兄弟仲は良くて、
二人並んで中学に登校していた。
顔立ちもよく似ていて、双子のようだった。
しかし、いったん、火が付くと、まさしくバクヤクが爆発するように、
凄絶な兄弟喧嘩となるらしい。
近所でも有名であった。
一度、弟が火箸を投げて、
兄貴の頬に突き刺さり、
口ん中まで貫通したなんてことがあった。
でも、クールダウンしたら、翌日にはすっかり元の通りの仲良し兄弟。
ちゃんと二人で並んで登校していた。似た顔してさ。
ただ、兄貴の頬には大きく包帯が当てられていたよ。
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