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■ アカバネン・グラフィティ18
July 15, 2007 8:21 PM


「酔死体」


 駅前のOK横丁って飲み屋街。その代表格が「八起」。
赤羽の酒呑みなら必ず行ったことのある店。
親子二代、最近は三代にわたる客筋も多いらしい。
で、必ず、注文するのが「チャーメン」。
挽肉とモヤシとニラを炒めたもの。
チャーは、牛の脳味噌。
チャー多目、って頼むのも可。
赤羽育ちの酒飲みは誰もが牛の脳味噌食ってる。
食いすぎて、やたら涎の多い奴もいる。鼻輪つけたがる奴も。ビールなんか瓶ごと飲んでる奴も。


 なので、赤羽では、
毎夜、いろんな酔っ払いのいるシーンがしなやかに展開されている。
その中でお気に入りを一つ。


 赤羽駅のホームに酔っ払いが横たわっていた。
四肢を広げ、ぐたーっとして、かなり死体に近い。
スーツ姿の若者が、そこに近寄って、ポケットからチョークを取り出した。(おそらく、塾の講師か学校教師なのだろうな)
で、酔っ払いの周りのアスファルトに、チョークでその輪郭を描いたのだ。
まさしく殺人現場の出現。
みんな足を止め、夜のホームで大ウケだった。
駅がほんわかと和んでいたよ。



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