本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
山口小夜子さん、逝去。
生前から既に生とか死とかを超越しているオーラを放っていた。
亡くなられたというよりも、無くなられた、そんな感じがする。
この人ほど不世出という言葉がぴったりくる方はそうはおるまい。
美術監督の木村威夫さんのコメント、
「三途の川さえも華麗に渡ったんでしょうね」
まさにその通りだと思う。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
山口小夜子さんはモデルだけにとどまらず、映画、舞台、舞踊などさまざまなメディアで表現活動を展開されていた。
近年では鈴木清順監督「ピストル・オペラ」が印象的だ。
これ、お気に入りの映画で、俺は仕事部屋にチラシを貼っているが、
ふと、さっき見たら、宣伝コピーが、
「ミンナ、オダブツ!」
反射的に手を合わせたよ。
七十年代のATG映画「原子力戦争」(黒木和雄監督)にも山口さんは出演していた。
これ、実に不思議な映画だった。好きな作品だ。
主演の原田芳雄がヤクザの抗争に巻き込まれ、その背後には原子力発電所の問題が絡んでいる。
山口小夜子さんは、原発の近辺に神出鬼没に現れる謎の女性で、
例の神秘的でアンニュイな雰囲気を漂わせ海辺を徘徊する。砂浜で原田芳雄とのラブシーンも。
また、カメラが原田芳雄と共に原発内に入ろうとし、
警備員が「こらっ、撮っちゃダメだっ!」とレンズを手で覆う、ドキュメントタッチのシーンなんかもある。ここらへんが実に当時のATGギミック。
それにしても、実に奇妙な映画だった。
なんせ、ヤクザ映画、原発問題、原田芳雄、ドキュメントタッチ、ATG、そして、山口小夜子。
こんな映画も二度と出てこないだろう。
やはり、山口小夜子さんは不世出という言葉がどこまでも似合うのである。
今年はサンマが早い。なので、大ぶりの奴を焼いて食う、美味い。スズキ刺身の地中海風(?)。キューリとミョーガの甘酢。ゆでたトーモロコシ。
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