本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
ついに、我が家に、
ホラー作家の、ドストエフスキー・P・飯野文彦がやってきた。
番犬ハチ君が目をむいて警戒の咆哮をあげ、狂ったように同じところをグルグル走り回っていた。
早川書房の編集・マイキーKさんが取材に同行。
また、非常事態に備えて、傭兵として、軍人ムラカミこと、翻訳家・村上和久氏に同席を願った。
何が起きたのかといえば、仕事なのである。
飯野センセーの新作長編「バッド・チューニング」(早川書房)の刊行を祝し、
また、10月初旬刊行予定の拙作「夕陽はかえる」(同)の前宣伝を兼ねて、
対談するという企画。
実現させたマイキー・Kさんの勇気と無謀さに頭が下がる。
記事は九月発売の「ミステリ・マガジン」に掲載されるので、公安に回収されないうちにお目通しくださいませ。
グルメ・ミステリ特集ということで、
俺が数々の料理を作り、飯野サマにひたすら召し上がっていただき、ご高評やご批判を賜るというもの。
ほとんど、飯野センセーをご接待する奴隷状態の俺なのであった。
今宵のメニューは次の通り。
・シャケソテー南蛮風。
・カボチャ梅サラダ。
・鶏のワサビソース。
・パリキャベツ・スパイシー。
・キツネ豆腐。
・鯛刺身のシシリアン。
・黄昏チキンのコリアン。
・辛酢ゴーヤ。
・大根葉とシラスの炊き込み飯。
以上の品々。どれも、帰宅後、30分以内に作れるもので統一した。
レシピは「ミステリ・マガジン」に掲載されるので、そちらをご参照の程。
それにしても、やはり、飯野は飯野、いつも通りに凄かった。
話が飛ぶ飛ぶ、あっちにこっちに、もちろん下(シモ)に。
最近は、故郷の町内会で運動部長の任にあり、秋の運動会を仕切らねばならないらしい。
恐れ知らずの町内会である。
近所の仲良しの友達(五十過ぎ)は、飯野の自宅のチャイムを鳴らし、出てきた飯野夫人に四文字言葉などを大声で浴びせ、逃げてゆくという、ピンポンダッシュが大好きな歯科技師の人らしい。
町内会あげてのセクハラである。そんなこんな大らかな郷土色が飯野文彦という稀有な作家を育んでいるのだろう。
ああ、ここでは書けないような言葉を連射しながら、暴走する世紀(性器)の酔獣、飯野は止まらない。
ハチ君はますます激しく吠えるし、うちの家内は笑っているんだか泣いているんだか解らず、数回、気を失う。
ホント、非常線として軍人ムラカミ氏に待機してもらってよかったよ。感謝。
それにしても、この模様を記事にしなければならない、マイキーKさんのご苦労がしのばれるのであった。
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