本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
晩の七時頃、少し気温が下がってから、番犬ハチ君の散歩。
通り道、盆踊り大会をやっている。
ハチ君、これが大の苦手。
人々が大勢集まって何やら妙なポーズをとりながら賑やかにしているのを見て、
おいっ、こいつら頭がどうかしちゃってるよ、って顔をして警戒する。
決して、踊りの輪の五メートル以内に近付かない。
道を迂回して、違うコースで散歩するのである。
他に苦手なのは、花火、雷雨。
だから、夏場は、ハチ君、いろいろと大変である。
西荻窪は町全体の大きな祭りはない。
細かくブロックに分かれて、小さな祭りが幾つも行われる。
毎週、土日ともなると、どこからか盆踊りの賑わいが聞こえてきて、
ハチ君、落ち着かないのであった。
「あいつら狂ってるぜ」
阿佐ヶ谷の七夕や、高円寺の阿波踊りのように、
わが町もまとまって大きな祭りをやれば、経済効果もあって良いのにと、毎夏、思う。
まあ、いろいろと区画ごとに思惑があって連帯するのは難しいのだろうな。
誰か、一人、カリスマ的存在がいて、リーダーシップを発揮し、とりまとめてくれれば。
そうなると、あの方に登場願うのがふさわしいかもしれない。
もちろん、我が町の生き仏、いや、真性の仏様だな、
丹波哲郎さんである。
丹波さんを奉り、
西荻丹波祭りを開催するのだ。
ああ、丹波邸が残っていれば、そのまま神社に出来たのに。
さすれば、町内の若者はこぞって丹波神社で結婚式を挙げるだろう。
邸宅屋上にはヘリコプターの発着基地があるので(という噂)、
ゴンドラの代わりにヘリで登場だ。
葬式だって、丹波神社にお任せ。
ヘリで上空から西荻の町に散骨してくれるんだ。
よし、丹波祭りと丹波神社については、時間のある時に、もっといろいろと企画を追求してみよう。
朝から晩まで、新作「夕陽にかえる」の改稿に一心不乱だった。
仕事場にこもっていたら、なんだか頭痛がしてくる。
いつもより暑いのだなと思ってたら、外の最高気温は三十五度近くもあったのかっ。
ニュースとか世間の情報から離れてたので、知らんかった。
知ってたら、もっと弱気になって、バテてたろう。無知は強い。
晩飯。モヤシ・キャベツ炒め。冷やしトマト。サンマ刺身。イカリング。
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