本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
やはり、引き金の調子が悪い。
なんせ十年近くいじり倒した銃だからな。
それだけ使いこんでれば、早撃ちは軽いもんだろうと思われるが、さにあらず。
俺の場合、プレイが著しく偏っている。
とにかく、転がって撃つ、あるいは、飛んで伏せて撃つ、
そればっかりやっていた、十年間ものあいだ。なぜか、ガンアクションというと、この動きがお気に入りなのだ。
おそらく、中学の時にTV放映(前・後編)で観た「荒野の七人」にしびれた名残だろう。
「荒野の七人」でも前編の、早撃ちを試すシーン、両手を打つ間に銃を抜くテストだな、あれに影響されていれば、早撃ちのトレーニングにもっと真剣に取り組んだだろうに。反省点は多い(何もそこまでっ)。
気分一新を兼ねて、新しいピースメーカーを購入した。
もちろん、ガンベルトを買った吉祥寺のハートフォードで。
いぶし銀の店長(だと思う)がしっかり覚えていてくれて、また親切にいろいろと教授したくれた。
新しい銃はやはり動きが滑らか。それに、ハートフォードが独自で作っているので、とても造作も精巧で丁寧だ。
よし、これなら、やってゆける(何をっ)。
でも、ああ、また、転がりながら撃っていたよ、畳の上で。
新作「夕陽はかえる」、入稿したとの連絡あり。完成が待ち遠しい。
で、早川書房の編集・マイキーKさんと、電話+FAXを何度もやり取りして、カバー周りのリード文や帯のコピーの打ち合わせ。
俺、かつて映画会社の宣伝部でコピーをたくさん書いていたので、この手の作業はすこぶる好きなのである。
いろいろうるさいこと言って、ゴメンナサイ、マイキーさん。
せっかくなので出来上がったコピーの一部を公開。
「任侠推理か、マカロニ本格、それともパズル・ノワール?!」
「背徳のSin本格誕生」
よしよし、ただならぬ異常ミステリの雲行きが感じられてくるぞ。
晩飯。チキンソテー・万能ソース(レモン汁+焼き鳥のタレ)三つ葉和え。冷奴。キューリとミョーガの酢の物。
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