もう、ほとんど完全に秋の気候であるようだ。
涼しい風がそよと吹き、エアコンも扇風機もいらない。
けど、油断は禁物だった。それは蚊。
絶命を目前にして、末期の一杯ならぬいっぱいの血を求めて、あわただしく活動している。
断末魔のあがきというやつだろう。意地汚い連中だ。
庭に出たら、ずいぶんと刺されちまったよ。
番犬ハチ君は剛毛におおわれているので、蚊は俺の柔肌を標的にして集まってくるのだ。
蚊取り線香（犬用）をたき、殺虫剤をふりまき、引導を渡してやったぜ。
ハチ君、くしゃみを数回。
おっ、ごめん、殺虫剤の噴霧がそっちに流れたようだね。

　ちょいとグロにしてキュートなニュースを発見。
米フロリダ州。少女が飼っているペット、体長三十センチのトカゲが、
しっぽの辺りから、トカゲを出産した。
爬虫類は卵で生むはずなのに！？　しかも、そのペット君はオスなのに！？
あわてて、家族で動物病院へ連れて行った。
すると、生まれた赤ちゃんトカゲは、ゴム製の玩具であったことが判明。
ペット君がどこかで飲み込んだらしい。

　人騒がせなトカゲ君である。
しかし、何やら随分とウケて、おいしい感じがしないでもない。
そうか、人間だって、似たようなこと、やりゃ出来るじゃん。
北海道の木彫りの熊なんかを飲み込めば、
ケツから小熊ちゃんを出産できるってなもんだ。
絶対、みんなビックリ仰天だぜ！　別な意味で！　

　晩飯。さっそく、「ミステリマガジン」に掲載してあったメニューの中から、
チキンの辛味噌コリアンを作る。ん、美味いじゃん。よかった、正確なレシピだったぜ。
冷奴。ナスの生姜焼き。

　ほお、「ミステリマガジン」の次号予告、もうクリスマス特集だよ。一年は早いなー。
れれれ、俺の名前が、ん？　読み切り短編「夕陽はかえる　番外編」って、あるよ。
ふーん、楽しみだなぁ・・・、って、おおっ、原稿、書かなくっちゃだわ！
木彫りの熊なんか、後、後っ！