本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
次号「ミステリマガジン」に掲載させていただく短編、「夕陽はかえる・外伝(もちろん仮題)」にせっせと取り組んでいる。
急に季節が秋めいて、気温がぐっと下がり、寒いのが苦手な俺は気分がダウンしがちになるので、
執筆中のBGMは「アラビアのロレンス」サントラ盤。
士気を高揚させ、また、砂漠の熱気を夢想するのである。
初めて「ロレンス」を観たのは、中二の時で、当時、歴史的背景など知識が不足していたせいで、理解できない箇所がかなりあった。
それでも、壮大なシーンの迫力に圧倒され、激しく感動したものである。
けど、かなりマヌケな勘違いもしていた。
特に、ファイサル王子という存在が、さんざんセリフに出てくるのに、本人そのものは登場しないじゃないか、と疑問に思っていた。
王子というからには、月の砂漠の歌にでも出てきそうなアラビアの美少年かと先入観を抱いていたのだ。
数日後、パンフをよく見て、ファイサル王子はアレック・ギネスというオッサンだったことを知った。(サーの称号を持つギネス様、失敬)
あと、正確に理解していなかったのは、ロレンスを裸にして拷問する軍人(ホセ・ファーラー)が、ホモでサディストであること。
ロレンスの肌を指でつまんで、「白いな」と微かにニヤつき、グフグフと喉の奥でむせる。
かなりヤバい奴ということは解ったが、そうした人間の種類と言うか正体がまだ知識の範囲外であったのだ。
帰宅し、この映画の話をしていると、親が「ホセ・ファーラーってオードリー・ヘップバーンと一時、結婚していたはず」と言う。
あの凶暴な軍人がヘップバーンの美肌をつまみ「白いな」って言う、そんなおぞましいシーンが浮かび、ちょいと恐ろしくなり、かなり興奮もした。
さらに裸にむかれたヘップバーンが軍人にいろいろとされる妄想が脳内を駆け巡ったものである。
縄で縛られて、「ロープの休日」なんて、そこまでは考えなかったけどね、中二だし。
しかし、ヘップバーンの元夫は、ホセ・ファーラーではなく、
メル・ファーラーだったことを知るのはもっと後のことである。
晩飯。豚バラ肉とモヤシの塩味鍋。後半、ビーフンを入れると美味しかった。キューリとミョーガとシソの酢の物。
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