本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
寒い季節になると、俺は心身ともに弱りがち。
なので、夜は、鍋ざんまい酒ざんまいで鋭気を養い、エルネギー補給。
反対に、寒くなると、やたらと張り切るのが
番犬ハチ君。
リードをぐいぐいと引っ張り、ほとんど、俺の方が散歩に連れ回されている様な気分になってくる。
で、今朝も、ハチ君に引きずられて善福寺池の公園へ。
すると、幼稚園児の団体がやってきた。
暴れん坊のハチ君が近付いて、怖がらせないように、池のほとりでしばらく立ち止まり、園児たちが通り過ぎるのを待つ。
ところが、その列がなかなか終わらない。
次から次へと湧いてくるように、公園に入ってくる。
少子化が叫ばれているとはいえ、こんなに園児っているのか、ってくらいの数。ん百人。
ハチ君、待ちくたびれて、座り込み、後ろ足で背中なんかかいている。
先生たちに連れられて、さながらハーメルンの笛吹きの光景。そのまんま、善福寺池に入水してもちっとも不思議じゃなかった。
いつも、思うけど、スモックっていう服、どうして、どこの幼稚園も着用させているんだろう?
俺、園児の頃、あれが嫌でたまんなかった。テルテル坊主にされたみたいでさ。
どんな効能やメリットがあるんだろう?
いろいろと疑問に思ったので、ちょっと調べたら、
もとは十八世紀のイギリスの田舎で農民が労働の際に着用していたらしい。
伝統的なスモックは羊毛で織られていたという。
そうか、落ち着きのない園児たちの面倒をみるってことは、羊を追うようなものなのか。
だったら、ハチ君をけしかけて、牧羊犬かわりを務めさせりゃよかった。
帰宅したら、まだエネルギーのありあまっているハチ君はボールを持ってきて、相手をしろと強要してくる。
ふつうのキャッチボールならいいよ。
しかし、奴はボールを咥えて離さず、これを取ってみろ、と挑発してくる、ほとんど格闘技なのである。
で、取ろうとすると、ウウッと唸り、威嚇する。
時折、わざと前足の近くにポトンっとボールを落としてみて、こっちをからかう。
ああ、今日もまた、手が傷だらけになってしまった・・・。
取れるもんなら取ってみろ。
晩飯。いいシャケがあったので石狩鍋・醤油味。仕上げはつけ麺。
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