本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
荒川区に住む二十七歳の無職の男が、
所有していたエロ本をひそかに処分するために、
早朝、公園で、燃やしていたところ、
煙に気付いた住人により119に通報されてしまった。
ポンプ車4台と消防隊が現場に急行し、
また、町の消防団、野次馬らも大勢駆けつけ、朝早くから大騒ぎに。
彼らの包囲する中、男はくすぶるエロ本にじっと目を落としていたという。
男はエロ本を燃やしに行く前日まで、病院に入院していたらしい。
自宅は両親と三人暮らし。
なるほどね、入院中に激しく不安になったんだろうなぁ、
エロ本が親に見つけられてしまうんじゃないかと。
悶々と苦悩と焦りがつのるあまり、退院するやいなや、即、上記の行動に出てしまったのだろう。
この事件(?)に関し、コメンテーターとして成人雑誌の編集長の言、
「エロ本をこよなく愛する青年が、お世話になった本を最後にきちんと弔いたかったのではないでしょうか」
いや、単に焦っていたに過ぎないと思う。
救いといえば、今回の事件(?)の舞台がカリフォルニア州ではなかったこと。
もし、こんな青年とエロ本のせいで、
あの山火事が起きて、百万人が避難していたら、
と思うと・・・、エロ本の供養、なんてコメントどころじゃないからね。
それにしても、若い頃のエロ本隠しって
いつの時代になっても変わらないものだなーとしみじみ感慨深い。
中学時代の友人A君の場合、ティーンエイジの頃、
集めたエロ本の隠し場所は、敷き布団とベッドの間だった。
しかし、だんだん、冊数が増えてくるにつれ、布団が高くなってゆく。
なので、ベッドのソファ部分を外して、隙間を作ったり
敷布団の詰め物を抜いて薄くしたりするなど、知略を尽くして工夫を凝らし、
さながら、「大脱走」のワンシーンのようであったと聞く。
そうした甲斐あって、一日九回のレコードホルダーとなったわけさね。
若いっていいよね。
晩飯。サンマ焼き。殻つき生牡蠣。ニンジンサラダ。ワカメの酢の物。
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