本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
関東地方に台風来襲。
番犬ハチ君は朝の散歩の後は、ずっと、寝ていた。
強風と大雨で遊べないし、人も訪ねてこないので、番犬の仕事も休み。
ほんと、よく寝ていたよ、朝から夜の八時頃まで、ぐっすり。
晴れの日に備えて、鋭気を養ういい休養期間なのだろう。
台風明けの奴の暴れっぷりが恐ろしい。
テレ東「アド街ック天国」の特集は大宮というよりも、先日、オープンしたばかりの「鉄道博物館」。
そういえば、ついこないだは、鉄道操車場のある田端を取り上げていたっけ。
スタッフの中にテツがいるのか。
なんとなく、「タモリ倶楽部」に接近してきているぞ。
俺としては嬉しい限りだが。
早く、鉄道博物館に行き、SLの運転シミュレーションを体験してみたいが、
まだかなり混んでいそうなので、しばらく待機ってとこだな。
その前身である神田にあった旧交通博物館に行ったのは、かれこれ30年以上も前。
中学の時だった。
俺にとって、その思い出は、お茶漬けなのである。
なんで、そうなのかといえば、
当時、永谷園のお茶漬け海苔に、オマケとして、安藤広重の浮世絵のカードが付いていた。
東海道五十三次で53種類。
俺、なぜか、そのカードが好きで好きで懸命に集めていた。
お茶漬け海苔10袋詰めのワンパックに、カードは一枚しか入ってない。
そんなに茶漬けばっかり食えないよ。しかも、同じカードのダブりなんかもあるし。
友人や親戚にも頼んで、必死に収集に励んだ。
それでも、たかが知れている。全種類を入手するのは到底不可能だと諦めかけていた。
ところが、その神田の交通博物館に行ったら、土産グッズの売店で、見つけたよ。
五十三種類全カードのセットが800円。
永谷園のロゴはないけど、まったく同じもの。
うん、そんなロゴがない方がいいに決まってる。同じ製造工場で作ったものを永谷園は使っていたのだ。
これで、ようやく、俺はお茶漬け地獄から解放されたのであった。
そんな思い出があるせいで、
大宮に鉄道博物館オープンと聞いて、真っ先に連想したのが、
小津安二郎ではないが、お茶漬けの味なのであった。
新しい売店にも五十三次のカードがあったら、激しく感動だな。
食堂でお茶漬けがあったら吐くかもな。
晩飯、キンメダイのちり鍋。仕上げはもちろん雑炊。
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