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■ 11月16日(金)・2007
November 16, 2007 11:19 AM


 日頃より服用している薬の処方箋をもらいに、いつもの医院へ行く。
俺のちょっと後から、痩身の老人が入ってきた。
その爺さん、受付で、
「バカにつける薬をもらいにきたよ」


毎度のことなのか、受付のお姉さんは慣れた様子で、
必要な書類を作るために、爺さんにいろいろと質問。
「この二ヶ月間のうちに、**の注射を打ちましたか?」
「んー、どうだったかなー、おぼえてねーなー」
「腹部に何か痛みは?」
「痛いって、どれくらい痛いと、痛いっていうのかなー」
と、まあ、こんな具合で、質疑応答が成立しない。
おそらく書類は形式上のものなのだろう、
受付のお姉さん、ひるむことなく慣れた様子でテキパキとすすめてゆく。
そして、最後に、名前を尋ねた。
爺さんは、「名前ね。俺、二つ名前あるから、どっちにするかなー」
お姉さん、ため息をつくと、答えを聞かず、さっさと書き込んでいたよ。
爺さん、へらへら笑ってる。
本当に、バカにつける薬の処方箋だったのかもしれない。


 町内の古本屋を数軒、回る。
最近、なぜか、「百冊の徹夜本」(佐藤圭/カタログハウス刊)というミステリガイドを読み返した。
これ、1993年刊行で、十五年も経っている。
そこに紹介されている作品を無性に読みたくなったが、それらの多くは品切れ・絶版、
しかも、「こんなに面白いのにあんまり評判にならなかった40冊」という項目があるくらい、だから、頼みの綱は古本屋ということになる。


たとえば、
四十五年前の肉体のままでヒトラーが現代に蘇る「ゴ―スト・フライト」(ウィリアム・カッツ)
冷酷な凶悪犯がある家に押し入るが、そこで突然、不可解な死を遂げ、家族たちは呆然となる・・・「殺したくないのに」(バリ・ウッド)
アメリカ大統領夫人に化けたKGBの女スパイのベッド演技は性交いや成功するのか「替え玉」(アーヴィング・ウォーレス)
登山経験の無いド素人七人が八甲田山のような目にあう「死の雪山サバイバル」(フィリップ・フィンチ)
等など、その他にもいろいろ。
その手の古本?のインディ・ジョーンズになった気分、コツコツと一冊ずつゲットするのが快感なのである。


 晩飯。鶏つくねの水炊き、仕上げはウドン。



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