本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
本日はやけに冷える。
なので、靴下を二足履き、フリースの上にトレーナーを重ね着し、室内でも帽子を耳まですっぽりとかぶる重装備だ。
冬に弱いのである。
しかし、寒くなれば鍋が美味いので、夜だけ冬ならばよいのにと非生産的な想いに毎年ふけるのだった。
晩飯時、録画していた深夜番組「モヤモヤさまーず」を観る。
西荻の奇妙なスポットを探索する特集で、その後編。
前編は、13日の当報告書に記した通り。なかなかの充実ぶりだった。
二回に分けるほど、そんなネタになるような場所ってあるのかな、
と、こちらの余計な心配をよそにちゃんと紹介してくれた。
えっ、こんなところにダンス教室が、って、古ぼけたビルの二階の一室。
六十過ぎの女性の先生が指導してくれる。
この先生のキャラが、女王様がかっていて、スパイシー。
タンゴのCDをかけるように、生徒の一人である初老の男に命じる。
その生徒さんが器械の操作に手間取っていると、
「早く、おしよっ、このノロマ!」と女王様の言葉責め。
そして、生徒さん二人にタンゴを躍らせるのだが、
もっとも見栄えのいいところで、
いきなり、先生が割って入って、自分が踊り、テレビカメラの真ん前でカッコいいポーズを決めてみせる。美味しいとこだけ、ちゃんとモノにするのだった。
いやはや、こんな女王の教室があるとはつゆとも知らんかったよ。
催眠術クリニック、なんて激しく怪しいスポットも紹介。
俺、これもまったく知らなかった。
みなみらんぼうの弟みたいな先生?が、
先っぽにコインをつけた糸を目の前で揺らして催眠状態に導く、って昔の映画のワンシーンのような光景。
さまーずは笑芸人だけあって、邪悪な体験が多いため疑り深いのか、術にかかった様子がない。ちゃんと演技はしているが、それは人の良さと、仕事への誠実さの表れだろう。
しかし、女子アナはしっかり、術中にはまった様子。芸人と比べれば苦労の量はまだまだなのである、きっと。
それにしても、どういう人がここに通院?するか、痛烈に疑問であった。
あと、信州直送の作物を販売している八百屋さん、ここは、たびたび俺も利用している。
しかし、店主のキャラを理解していなかった。
コツコツといいものを安価で市民に提供している地道な人という印象だったのに、
テレビカメラの前だと、やたらと、親父ギャグを連発し、かなりの興奮状態にトランスフォームしちゃっている。
日頃、やや暗い店内のレジでじっと自分を押さえつけていたのだろう。
しかし、その間も、いつの日かと思い、懸命にギャグをひねっていたに違いない。
ついに、待望のXデイがきて、オヤジさん降臨しちゃって、その長年の妄念を爆発させてしまった。
明日から、どうやって生きていくのか?
いやはや、それにしても、西荻にはこんなに鬱屈した奇人さんたちが潜伏していたとは・・・ますますこの町が好きになってゆくボクはまた一歩、大人に近付いたような気がした。
晩飯。牡蠣の味噌鍋。イナダの刺身。白菜漬け。
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