本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
(またもや、昨日のつづきだよーん!)
第二ステージでは、いよいよベスト3を当てる。
いわば、メーンイベント。
いやがうえにも一層の緊迫感と熱気が室内には充満していた。
さて、前述した通り、新ルールの導入により、
第一ステージにおいて、ベスト3にランクインしている名が、既に挙げられていたかもしれない。
(なんせ、これまでに、メンバーたちの推理よって挙げられてきた名の数は、
な、なんと、当落ともに合わせて、91名にも及んでいる。)
それを、カーツ主宰がポーカーフェイスによってトボけ、我々を欺いている可能性は充分にありうる。
そう、彼の演技を見破る洞察力も必要とされるのだ。
推理を競い合う知力の勝負と同時に、
人生経験の深度に基づく心理戦の成果が問われる。
そして、この息詰まる頂上決戦において、大きくリードしたのは、やはり、
この二人、タツローとモリサーであった。
「松下奈緒、第一位」
見事にモリサーが的中させた。
第一ステージでも、この名が挙げられたのだが、カーツ主宰は気の無いそぶりを演じていた。しかし、モリサーはその一瞬の表情を見逃さなかったのだ。
曰く「主宰の否定の仕方がもっとも早かったのは、あの時だった」と。
ちなみに、第一ステージで松下奈緒を挙げたのは、俺。だけど、あっさりとカーツ主宰の演技力に騙され、むざむざと栄光の杯を取り落としてしまったわけである。
モリサーとの実力の差を実感せざるをえない。
そして、もう一方の覇者、タツローの快進撃もめざましい。
「小林麻央、第二位」を当てる。
これも、第一ステージで、ヤースが挙げていたが、やはり、カーツ主宰の演技力に阻まれ、勝利を逃してしまった。
ふだんは科学者然として冷静なヤースが珍しく、悔しさを露にする。
そして、新ルールを導入したますふじ圭に憤激の視線を突き刺すのだった。
ここで、一つの貴重な伝言が発表された。
今回、残念ながら結石により欠席となったジンタン氏が、病床から一つの推理をモリサーに託していたのだ。(ほとんど瀕死の苦しげな電話の声だったという)
そのダイイングメッセージのごとき、アンサーとは、
「え、え、エビちゃん・・・」
そう、蛯原友里のエビちゃんである。
しかし、この決死の推理も、カーツ主宰はあっさりと否定する。
決して冷酷なのではない。むしろ、つまらない温情こそ、ジンタンに失礼だという英断。
誰もが納得し、また、当のジンタンこそ感謝の念を抱くに違いない。それこそがアカバネ倶楽部の尊き精神なのだから。
さて、残るは、第3位の一枠だけとなった。
(またもや、明日につづくよーん! ああ、ホントは今日で最終回のつもりだったのに・・・)
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