本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
朝、ゴウゴウと激しく吹く風の音で目が覚めた。
外は、嵐のように、斜めに降りつける雨。
それでも、行かねばならない、もちろん、番犬ハチ君の散歩だ!
雨合羽で武装して、ハチ君と一緒に外に出ると、
道路に何やら色々と散らばっている。
野菜クズやら、スナック菓子の袋やら、マヨネーズの空チューブとか。
今日は、ゴミの回収日。
カラスがそれを狙って、餌を漁ったのだろう。
しかし、あまりの激しい風雨のため、持ち去ることが出来ず、途中で落として行ったらしい。
カラス君たちの姿が無い。彼らもどこかに飛ばされてしまったらしい。
二日酔い防止サプリメント「のんどこ小町」の効き目を、
数回にわたり、己の人体実験で検証した結果、吉と出た。
なので、楽天ショップで、まとめて購入。
クルーンを獲得した巨人はこんな気分かもしれん。
ふふふふ、安心のあまり、「酒後神」なんてしょうもないことを思いつくのだった。
夜の七時頃、サイレンが鳴り響く。
それもすぐ間近ではないか。
外に出てみると、消防車と救急車がずらずらずらーと並んでる。
そして、黒い煙が周囲に広がっている。
バス通りの向こう側で、火の手が上がっているよ。火事だ。
傘をさして、通りを渡り、見に行こうとしたが、
もう、火の粉が降ってきて危ないったらない。
吹き付ける雨に、黒い煙が逆巻き、
赤い火の粉がジュッジュッと音立てて舞い、
道路一面には、散ったばかりの桜がアスファルトをピンクに染めている。
なんだか、気の狂いそうな光景。
パジャマ姿で大声を発しながら走ってる人を何人か見かけたけど、
おそらく発狂したのだろう。
うっかりシャッターチャンスを逃し、反省。
鎮火後も、深夜まで、消防車数台が残っていた。
それでも、しっかり晩飯を食っているのが何だか妙なもの。
焼き鳥風チキンソテー(火事場で焼いたのではない、念の為)。オニオンスライス。ニンジンのボイルサラダ。
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