本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
■ 5月2日(金)・2008
May 2, 2008 9:32 AM
ワーキングプアの読者層を中心に、
小林多喜二「蟹工船」(新潮文庫)がベストセラーらしい。
ならば、俺も読まねば(昔、映画でしか見てないし)。
もしかしたら、ミステリの傾向も、その方角に振り子が揺れるかもしれんな。
社会派ミステリ、
いや、さらに突っ込んで、格差社会派ミステリだ。
「プロレタリア本格」なんてブランドが生まれるんだな、きっと。
過酷な労働条件のもと、
ほとんどタコ部屋の社員寮で連続殺人が起こる、
「酷使館殺人事件」。
睡眠時間まで奪われた社員たちが、その窮状を訴えるべく、
メーデーの集会で行進していた最中に
殺人事件が発生する、
「スリーピング・メーデー」。
こうした傾向は、本格モノだけじゃない。
「労働ボイルド」の傑作、「赤い収穫」が誕生し、
共産党のプッシュがあって、ベストセラーになったり。
やがて、ジャンルの名称も、
ノワールならぬ、NOワークと呼ばれるようになる。
「赤い収穫」の続編で、
リストラされた主人公が、会社を去り、やむなく私立探偵を開業する「長いお別れ」、
しかし、仕事が来なくて逼迫する探偵はホームレスとなり、酷寒に震える「さむけ」、
そして、とうとう死んじゃう四部作の完結篇「地中の男」。
ああ、こんな妄想に呑気に徐行してる身分じゃないんだよな、俺、
さあ、働かねば。
そろそろ、新作「ロング・ドッグ・バイ」の設計図を固めに入らないと、間に合わんぞっ。
晩飯。町内の鶏肉専門店「鳥一」の唐揚げ(これ、無性に好き)。パリキャベツ・スパイシー。冷奴ごまたれ。
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