本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
水野晴郎さん逝去、
謹んで御冥福をお祈りいたします。
(当報告書にての記載、遅れましたことを深くお詫び申し上げます)
初めて、水野晴郎さんの存在を知った時のことを覚えている。
俺が14歳の時、山陰本線(当時、国鉄)に、蒸気機関車の撮影の旅に行き、
その帰途、
岡山の祖父母の家に遊びに行った。
ちょうど、その時期、テレビの「水曜ロードショー」が放映開始され、
そこで、ブラウン管の向こうの、解説・水野晴郎さんに接したわけである。
オンエア作品は「シェーン」であった。
もちろん、日本語吹き替え版で、ラストの名シーンは、
「シェーン、行かないでー!」
と訳されていた。
映画が終わってから、
水野さんの解説シーンで、ちゃんと、オリジナル映像の、
「シェーン、カームバーック!」
を見せてくれたのが、とても嬉しかった。
カセットテープで、こうしたクライマックスシーン(ジャック・パランス扮する殺し屋・ウイルソンとの決闘、少年ジョーイとの別れ)を、テレビにつないだカセットデッキで録音し、何度も聞き、今も、そのテープは残っているはずだ。
だから、水野晴郎さんの名が出ると、
俺が条件反射的に思い出すのは、
「シェーン、カームバーク!」
なのであった。
後に、水野さんが、同郷の岡山出身であることを知り、
また、水野さんが映画宣伝マンであったのと同じく、
俺も映画会社の宣伝部に一時、身を置き、
テツの俺を刺激するかのごとき、
「シベリア超特急」シリーズを監督され、
しかも、この作品がミステリであったり、
また、さらに、警察マニアであることも、やはりミステリとの深い縁であり、
そんなこんなわけで、
水野晴郎さんには敬意とともに、僭越ながら親しみを感じていたのだった。
俺が映画屋だった頃、もちろん、何度もお姿を目にすることはあったが、
結局、なぜか、一度も、話をする機会を持たなかったことが、悔やまれるのだった。
それでも、いろいろと縁を感じるわけで、
ならば、いつか、俺も、「シベリア超特急」のようなミステリを書くのかなと思ったら、
ふと、考えれば、
「スティームタイガーの死走」が、俺版「シベ超」ではないか。
確認したら、巻末の参考資料の中に、「シベ超」が記載されている。
そうか、電波のように、水野さんにお力添えいただいたのだなぁ。
ありがとうございました。
重ねて、御冥福をお祈りいたします。
晩飯。ジャガイモのコリアン風炒め。イワシの刺身。カブの梅マヨあえ。カブのワサビソースあえ。
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