本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
先日、ミステリ評論家にして、バカミス・ゴッドファーザー(略して、バッドファーザー)であられる小山正さんと映画の話をしていて、
最近の作品では、「ミスト」を勧められた。
もちろん、原作は、S・キング「霧」。
原因不明のほとんど視界ゼロの霧が発生し、奇怪な怪物らしきものが現れる。
人々はスーパーに篭城状態で攻防戦。次々と犠牲者が増え、店内では狂気が渦巻き、この世の地獄に・・・。
あれ、大好きな作品。
だもんだから、俺、「観たいよぉ、観たいよぉ」と、デパートの玩具売り場のガキみたいに駄々こねてたら、
小山さん、仕方ないなぁ、とカバンから、「ミスト」の前売り券を取り出し、
くれたんだよ。
ガラガラを見せられた赤子のように、すぐに泣き止んだ俺。
ああ、嬉しいよぉ、ありがとうございます。
改めて、深く深く御礼申し上げます。
で、本日、新宿の劇場で観てきた。
いやはや、お勧め通り、あっというまの2時間5分でありました。
重ねて御礼申し上げます。
原作ですこぶる気に入っていたカルト教祖オバサンが大活躍で、
末路も素敵な花道を辿り、オイラすげえ歓喜しちまったただよ。
田舎モン、ヨソ者、インテリ、ブルーカラー、それぞれのエゴが衝突するあたりも爽やかであり、アドレナリンが青いレモンの香りがするようだ。
原作でこわーい雰囲気を醸していた巨大怪物も全体像を見せてくれて、
なおかつ、やっぱし怖かったので、ちびりそうになり、
NASAのオムツをはいとくべきだった。
そして、原作には無いラスト。
巷では毀誉褒貶いろいろであるけれど、
何というか、O・ヘンリー「賢者の贈り物」を激しく邪悪にしたふうな印象で、
俺は好きだ。
その内容というよりも、
作り手が、何が何でも「イヤミス」テイストのホラーに着地させるんだ、ってその覚悟に、
意気を感じたね。
あと、もし、主人公に高倉健スピリットを吹き込んでやれば、
さらに、映画版「野性の証明」のラストみたいになって、
バカミス・テイストも加味されるだろうに、って妄想を楽しんだのでした、マル。
ふと、思ったんだけど、スーパーに篭城するってシチュエーション、
「ゾンビ」でもあったね。
食物や武器とか、いろんな物資が入手できて、作劇に工夫できるからだろうね。
スーパー篭城もの、って一つのジャンルになりうるかも。
さらに、ひねりを加えれば、スーパーではなく、
どこか別の場所に設定すると、これはこれで、違うドラマが生まれるだろう。
篭城ムービー、ってジャンルだね。
じゃ、どこに篭城させると楽しい映画になるかなぁ、
と妄想を膨らませてるけど、
長くなってきたので、明日、また、このテーマを綴ってみるとしよう。
晩飯。ヒラメ、キューリ、シラス干しで手巻き寿司。
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