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■ 6月19日(木)・2008
June 19, 2008 12:04 PM


 というわけで、昨日、記したように、
映画「ミスト」を堪能したあまり、
篭城ムービーというジャンルに妄想を膨らませるのであった。


たとえば、
健康ランドに篭城した状態の「ミスト」なんて、いいかも。
健康ランドって、まあ、早い話がでっかい風呂屋なんだけど、
いっそのこと、思い切って、銭湯でもいいかもしれん。


銭湯で、「ミスト」になっちまうってわけさ。
しかも、怪物の触手は脱衣所まで、侵入してきちゃってる。
んだから、閉じ込められた人々はみんなマッパなわけさ。
ずっと、2時間5分、数十人の男女がマッパで、
地獄絵のようなドラマが繰り広げられるんだ。


また、一時、小型の怪物が、女湯の方に入ってきちゃったもんだから、、
男たち(マッパ)は仕切りの壁を壊して、女たち(マッパ)を助けに行く、
って展開で、ちゃんと淡いラブストーリーも仕込まれていて、心憎い限り。


必然性がなければ脱ぎません、なんて女優がよく言うけど、
これなら、めいっぱい仕方あるまい。
プロデューサーや製作委員会も、ヒットのポイントを抑えてホクホクだね。


また、女性たち(マッパ)のために、
勇気ある男たちが志願して、怪物の侵入している脱衣所に、
下着を取りに行ってやるんだ。
彼ら決死隊(もちろん、全員マッパ)による命がけの冒険はまさに手に汗にぎるね。
何人かは、怪物に襲われて、殺されてしまう。
最期まで、その手に握られていた血まみれのブラとパンティのアップが泣ける!


また、集団のパニック状態のドラマで、必ずあるシーン、
リーダー格の人間が、みんなの結束を固めるために、演説みたいに語るよね。
見せ場シーンのひとつの王道である。
そうだな、リーダーにふさわしい人格者っぽい男優なら、よし、とりあえず、
ケビン・コスナーをキャスティング。


で、ケビン・コスナーが演説する。
人々の理性に訴え、勇気と団結を鼓舞し、そして、人間の尊厳を語り上げる。
感動的なシーンだ。
でも、マッパ。
朗々とした声が洗い場の天井に反響する。
時折、強い口調となり、激しく拳を振ると、股間もプラプラ揺れてる。


コスナーをサポートする準主役としては、モーガン・フリーマンがいいな。
コスナーと並んでいると、
フリーマンの股間の方が目立つと思うね、絶対。
コスナーに逆らうひねくれ者でも、
フリーマンのイチモツには一目おき、やがて協力的になってゆくあたり、
巧妙なストーリーの造作に溜息が出るよ。


そんなこんなわけで、この映画、大ヒットは間違いないし、
また、「ミスト」が湯けむりのメタファーにもなっていて、
実に奥深い作品として、多くの人々に記憶されるだろう。


ついでに、
篭城ムービーの企画としては、
ストーリーが進むにつれて出演者が黒くなってゆく「日焼けサロン」版の「ミスト」
とか、あるいは、
精神病棟の「ミスト」、これ、何が何だか気の狂いそうな展開って、既に狂ってるし、
他にもまたまだ、この路線の鉱脈はありそうだ。
ガンバレ、ハリウッド!


 晩飯。ゆでたトーモロコシ。カツオのたたき。月見タヌキ豆腐。



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