本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
番犬ハチ君を風呂場で洗ってやる。
これが、毎度のことながら、ちょいとした大騒動。
まず、リビングの棚を、ビニールシートでおおう。
テレビやビデオデッキやDVDプレーヤーを水から守るためだ。
ここで、ハチ君に、ブルンブルンと全身ズブ濡れのまま、スウィングされてはかなわない。
それと、
風呂場にある洗面器や棒タワシやら石鹸箱やらあらゆるモノを撤去する。
大暴れして、あっちこっち引っくり返すからだ。
脱衣所の道具も同様。
入念な準備を終えて、
ようやく、ハチ君をリビングに誘いこみ、素早く首輪にリードをつなぐ。
奴は、キケンを察し、抵抗するが、
ここは、もう一気に、力ずくで風呂場まで直行。
素早く、洗い場に入れて、ドアを閉めて、軟禁。
俺は海パンいっちょう。
で、狭い中、逃げ回るハチ君にシャワーを浴びせる。
浴槽の蓋は外しておく。
ハチ君、逃げ場を求めて、上に乗っかるからだ。
以前、うっかり、蓋が外れ、
浴槽の中にドボンして、激しくパニクったっけ。
シャンプーを付けて、ブラシでこすってやってる時だけおとなしい。
やはり、気持ちいいようだ。
シャワーで洗い流す段となると、また、暴れる。
外に、家内がいるのを察して、
必死でドアを掻くようにして、助けを求める。
だけど、無駄だと知り、がっくりしてた。
10分くらいの格闘のようなシャンプーを終え、
ようやく風呂場を出る。
水を弾き飛ばし、逃げるようにして、庭へと戻っていった。
まいったなぁ、の顔つき。尻尾も下がってる。
日差しを浴びて、乾いたら、
金麦色に全身が輝く。
どこかの良家のワンちゃんのように、シャンプーのいい匂いがしていた。
でも、自分本来の匂いが消えて、
アイデンティティを失ったように、不満そう。
なーに、すぐに、元に戻るよ。暴れん坊なんだから。
晩飯。手巻き寿司。ネタは、マグロ、アジ、キューリ(モロミ+マヨが美味い)、生のカブ(幅五ミリくらいにスライスして、二十分ほど三杯酢に漬けたもの、これ、刺身のようにベラボーに美味い)。
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