本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
だらだら労働してて、気が付いたら、もう夜の十時やんけ。
今宵は、ひとり身なので(チョンガー、ってほぼ死語だな)、
いつもの「戎」北口店で、
煮込みとヤキトリその他もろもろとビール、酎ハイをキメるか。
と思ったら、雨がザンザ降りやんけ。風もけっこうあるし。
歩いて十三分。こりゃ、ずぶ濡れだな、潔く諦める。
こういう時は、自宅で居酒屋ごっこ。
冷蔵庫を開けて、残り物をピックアップ。
まずは、豆腐。
よっしゃ、まずは一品、かくほ。
刻みネギとショーガをちらし、揚げ玉を乗せて、タヌキ冷奴。
おお、沖縄ラー油(これ美味い)があったっけ、こいつもかけてやれ。
ふふふ、ここまでやってくれる店はないぜよ。
ミョーガとオクラを刻んで、三杯酢であえる。
オクラのねばねばが、ミョーガを投網にかけたようにまとわりつく。
箸でつまんだ時、程よい量感なのだ。
キューリが半分、ラップでくるんであった。
適当に縦切りにして、
ここは、モロミ+マヨのソース。
店では出してくれない邪道な美味さ。自宅居酒屋ならではの醍醐味だ。
ううむ、柱がほしい。
おっ、ジャガイモがずいぶんあるぞ。二つほど使おう。
縦横テキトーに切って(八分割くらい)、ラップに包み、レンジでチン。
下ごしらえだ。
柔らかくなったジャガたちを、ボールの水にさらして、
素早く、手で皮をむく。簡単にむける。乱暴にやっちまう、早く食いたいんだから。
ウインナー数本を見つけていたので、テキトーに細切り。
フライパンにマーガリンをしき、
ジャガとウインナーをさっと炒める。塩、コショー、隠し味にコンソメ顆粒をパッパ。
これで、ジャーマンポテトもどきが出来上がる。
のだが、ひねりを加えたくなる。
冷蔵庫の奥に、刻みチーズの袋を見っけ。ピザとかにのせるやつね。
ほほぉー、賞味期限が、半年も過ぎてら。
けどな、んなもんで、動じる俺じゃないぜ。
カビ無し、匂いも異常無し、ただパサついてる。
ああ、これは、スムーズに溶けないって、期限の表示だ。
上等じゃねえか。
迷わず、フライパンのジャーマンポテトもどきと一緒に炒める。
コロコロと小さなチーズが混ざって、濃さが深まる。
でも、味が散らかるので、全体をピシッと引き締めるために、
カレー粉をかるーく投入。
ふふふ、メインディッシュが完成だ。
てなわけで、三十分ほどで、テーブルには四品が並んだ。
タヌキ冷奴・沖縄ラー油かけ。
モロマヨ・キューリ。
オクラとミョーガの酢の物。
スパイシージャーマンポテト。
いっただきまーす! 冷えたビールで始まり、日本酒、酎ハイと、杯が進む。
録画しておいた「あらびき団」でひとり笑いこける。
外は雨。
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