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■ 9月27日(土)・2008
September 27, 2008 8:32 AM


 一昨日、昨日と、映画の話題を続けたけど、
今日、こんなふうになるなんて。


ポール・ニューマン、逝去。
謹んで御冥福をお祈りいたします。


寂しいな、寂しいよ・・・。


ポール・ニューマンとの初対面は、
1974年、新宿ミラノ座の大スクリーン。
「スティング」
うらぶられた遊園地の回転木馬、その地下で、だらしなく寝こけている冴えない男。
こいつこそ、名詐欺師のゴンドーフだった。
くたびれた男なのに、カッコよかったな。


うん、カッコ悪いシーンをカッコよく演じる妙技こそ、
ポール・ニューマンの真骨頂だった。


しがない私立探偵ハーパーが、ちょいと迷った末に、
くずかごから、出がらしのコーヒー粉を拾う
「動く標的」


悔し涙にくれながらキューを操る
「ハスラー」


苦手な喧嘩、「ルールはない!」と居直り、相手の股間を蹴り上げ、いきなり反則、
「明日に向かって撃て!」


刑務所の中、ゆで卵大食いコンテスト、しょうもない競技なのにムキになって、吐きそうになる
「暴力脱獄」


ほんとカッコ悪いのに、カッコよかったよ。
ポール・ニューマンならでは、さ。


いちばん好きな作品は、そうだな、
「スラップショット」か「スティング」か「アパッチ砦・ブロンクス」か、
いや、
やはり、
「ロイ・ビーン」


流れ者のロイ・ビーンが判事と勝手に名乗り、勝手に法律を作り、酒場を裁判所にして、
気に食わない奴らを片っ端から処刑して、町を支配する。
その無茶ぶりが痛快で、妙に爽やかですらあったことよ。
ジョン・ヒューストン監督との息がぴったし合ったブラックコメディ・ウエスタンだ。
ラストの、伝説復活シーンには、胸が高鳴る。
でも、いちばん好きなシーンは、
そんなロイ・ビーンが、可愛がっていたペット兼用心棒だった黒い熊さんの、お墓を作ってあげるエピソードだな。


重ねて、心より御冥福をお祈りいたします。
サヨナラ、ありがとう。


 晩飯。カボチャのガーリックソテー。カツオたたき野菜てんこ盛り。温泉玉子添え冷奴。



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