本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
どのチャンネルを見ても、
政界よりも、角界のニュースの方が先。
麻生よりも大麻、吸引力の差を見せ付ける。
各メディアの既報の通り、北の湖理事長が辞任。
後任には、武蔵川親方、元横綱の三重ノ海が決まった。
で、当のロシア人力士たちは解雇処分。
しかし、露鵬がロシア人記者のインタビューで、
注目すべき発言。
「これは、新理事長(武蔵川親方)の陰謀だ!」
とロシア語で答えた。
ロシアはもちろん、かつてのソ連、
冷戦時代には諜報活動が盛んで、さながらスパイ王国だった。
それを題材に、各国で、多くのミステリが発表されている。
いわば陰謀のメッカ。
そうした風土で育った露鵬は、陰謀に関して、すこぶる敏感かもしれない。
となれば、
武蔵川親方に関する発言もあながち無視できなくなる。
もしも、ホントに陰謀だとしたら、
その目的は、当然、北の湖理事長を退任に追い込み、
自らがその玉座に座ることだろう。
武蔵川親方の現役時代(三重ノ海)のプロフィールに注目したい。
全盛期の北の湖に、猫だましを仕掛けたが失敗した、これ有名なエピソードらしい。
猫だましって、小さな陰謀の匂いが漂う技だよね。
で、成功すればスティング的に鮮やかだけど、
失敗すれば、すごく卑劣でセコい技に見えてくる。
仕掛けた力士のキャラもそう見えてくる。
そう、三重ノ海は、陰謀の失敗という汚名を背負ったのだ。
それを根に持ち、
北の湖への復讐を虎視眈々と狙っていた可能性は考えられる。
そして、頃合を見計らって、
ロシア人力士に大麻吸引の陰謀を仕掛けた。その一人は、北の湖部屋。
でも、なぜ、ロシア人を対象にしたのか。
何か恨みでもあるのか?
再び、プロフィールに目を通す。
三重ノ海は肝炎がひどくて昇進が遅れたという。
相撲取りなので、肝炎の進行の大きな要因として飲食が絡んでいるはずだ。
当然、酒もふんだんにくらっていたろう。
また、肉中心の食事を節制し、野菜を多く採るようにして回復をはかったと記事にある。
そして、三重ノ海の出身地は、三重県の松阪。
そう、あの松阪牛の松坂だ。
当然、美味しい牛肉をたらふく食ったに違いない。
そんな背景から、牛への親しみを抱き、
或る酒を愛飲していた可能性がある。
その酒とは、ズブロッカ。
ウォッカに、ヨーロッパバイソン(牛)の食べる草・バイソングラスを入れた酒である。
日頃から、そのズブロッカを鯨飲し、
肝炎の悪化に拍車をかけたのではないだろうか。
ズブロッカは、ポーランドとロシアで生産されている。
そう、ここで、ロシアに行き当たるのだ。
陰謀説の土壌が見えてきたろう。
北の湖への猫だましの失敗。
ズブロッカとつながるロシア。
汚名と肝炎の苦悩に苛まれ続けてきたのだ。
そして、現役引退後、
積年の怨嗟を晴らすべく、
武蔵川親方は陰謀を仕掛け、ほぼ成功を手中にしたと言っていいだろう。
いやぁ、相撲って奥が深い。
晩飯。豚バラ肉の梅酒ソース焼き。ゴーヤの酢の物。枝豆。一昨日残したアジの刺身を酢〆にしておいたのが格別美味なり。
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