本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
というわけで、珍しく風邪をひいたので、
クスリの厄介になる。
眠くなる成分が含まれているのだろう。
慣れていない俺は、てきめんにコテン。
とっぷりと昼寝こいちまったよ。
で、何度も記してきたように、
寝ると必ずといっていいほど夢を見る。
風邪のウィルスとドラッグの化学反応なのか、
殊更に変な夢を見ちまったさ。
まず、俺は何故か九州の何処かにいる。
仕事の都合らしい。
そして、やたらと、肩や背中が凝っているので、整骨院に行くことにした。
それも、東京の浜松町の或る整骨院じゃないと治療できない症状だと自覚している。
かなりの遠路だなぁ、と溜息ついていた。
すると、そこへ、いきなり、
ガメラがやってきた。
あの怪獣のガメラ。
でも、畳一枚分くらいの大きさしかないガメラ。
そして、顔だけ、なぜか、
ハリウッド俳優の・・・渡辺謙。
渡辺ガメラ謙が、
浜松町まで飛んで連れて行ってくれるという。
ありがたや、俺はさっそく背中に乗せてもらう。
ガメラ、手足を引っ込め、ジェット噴射。
そして、ビューンと飛んでくれる。
回転はしない。けど、相当なスピードだ。
甲羅から渡辺謙の首だけ出して、火を吹きながら、大空を飛翔。
なにやら壮絶な光景である。
かなりの高度で、俺、下を見たら、眩暈を起こしそうになる。
「目を瞑っていた方がいいよ」
と、謙さんの首が振り向く。なんて、親切なんだ。
目を開けると、いつのまにか、浜松町の医院の中。
若い男女の整体師が大勢いる。
で、俺は、上半身だけ裸にさせられ、ジーパンははいたまま、
タイル張りの小さな部屋に入れられる。
洋式便器みたいな椅子に座ると、天井からシャワーが降り注ぐ。
そして、なぜか、便器みたいな椅子は、
浅草花やしきのアトラクションのように、激しく前後に揺れる。
ずぶ濡れの俺は、次に二階に連れて行かれ、
整体師の検診を受ける。
「三角形の凝りがありますね。取りましょう」
と整体師は、俺の裸の背中に、
いきなり、メスをズブリと差し込み、クチュクチュといじくりまわす。
痛くはないけど、何だかスースーと涼しい。
しかし、施術がなかなか上手く出来なかったようだ。
整体師は、逆ギレして、俺の日頃の不摂生をとことんののしるのだった。
それが延々と続き・・・
ようやく、俺は目が覚めた。
既に日が沈みかけていたよ。
晩飯、鴨鍋を作ってもらう。仕上げは、蕎麦を付け麺にする。ヒジキと野菜の煮付け。
昼はカメ、夜はカモ、
これで風邪はふっ飛ぶだろうて。
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