本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
■ 11月12日(水)・2008
November 12, 2008 10:27 AM
世の中には、ごくたまに、
典型的な顔の人がいる。
いつも行っている魚屋の店主さんが、まさしくそれ。
どこからどう見ても魚屋。
見た瞬間に魚屋さんだと解る魚屋さん顔。
もう、魚屋以外にはあり得ないって感じの顔なんだ。
夕方、俺、そこに買い物に行った。
件の店主さんが、
「ちょっと、これ食ってみて」
と、サーモンの刺身を差し出す。
俺、一切れ、試食させていただく。
ほんのりと塩味がして、とっても美味しい。
そんなふうな感想を述べた。
すると、店主は、
「だろ。
でもさ、これ、店に並べられねえんだよ。
お客さんの注文があったから仕入れてきただけでさ。
これは、その余り。
サーモンの刺身って、回転寿司の人気のネタだよね。
そんなもん、店先に並べたらさ、先代に雷落とされちまうよ。
うちで食うしかねえってわけ」
とキッパリ言う。
そのご相伴にちょっと預からせてもらったわけだ、俺。
おお、なんて、昔気質の魚屋さんなんだ。
そして、その典型的な顔で言われると、まったく嫌味が感じられない。
むしろ凄みさえ漂って、カッコイイ。
なんか劇画の世界に入り込んだ気分になったよ。
いつまでも、その気骨のままでいてください。
晩飯。タラの雪見鍋(鍋いっぱいに大根おろしに、タラ、ネギ、豆腐など)。
アン肝の酒蒸し(これが魚屋さん、本日のお買い得商品)。
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