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■ 11月29日(土)・2008
November 29, 2008 12:36 PM


 ランチタイムに、
「三人灯」という店に行った。


西荻の南口にあって、
以前から、町内の知人から勧められていたのだ。


なるほど、雰囲気のいい店であった。
何というか、マルセイユあたりの(←行ったことないけど、イメージね)小粋な大衆食堂って感じかな。
洒落ているけど、嫌味はまったく無い。


だ、だけど、
あまり、こういう店に慣れてないせいか、
俺みたいなどん臭いのが来ていいのかな、
なんて妙に卑屈になったりする。まあ、もともと小心なんでね。
この日は、家内と一緒だったので、
ええ、連れてきてもらったんです、という大きめの顔して入店できた。
でも、一人だったら無理かも、ちょっと腰が引けたりする。


店内には、いろんなスペースに小さな本棚が置かれている。
一人で、お茶したり、酒飲んだりする人のためだろう。
本好きが多く来店するようだ。
まあ、俺もそうだけど。
でも、やっぱり一人だと緊張しそうだなぁ。


そんなふうに、縮こまるように思い悩みながら、
何気に、カウンター席に置かれた本棚を眺める。
ボリス・ヴィアン全集のうちの四冊。
お、わりといいじゃん。
で、その隣には、いきなり、


つのだじろう「恐怖新聞」


コミックスの一巻と三巻。
二巻は無い。
どうやら、ここの本のほとんどが、すぐ並びの古書店「にわとり文庫」で購入したものらしい。
あそこは、とてもいい店で、ミステリや児童書に掘り出しもんがあったりするんだよ。


で、目の前の本棚だけど、
さらに、「恐怖新聞」の隣には、


「毒のある草花」


なんて、図鑑がボディブロー打ち込んできて、
さらにさらに、その隣には、
あの「日本の名随筆」集(作品社)の中から、
よりによって、わざわざ、


「死」


がアッパーを食らわしてくるんだよ。


おお、なんてスパイシーかつハニーなセレクションなんだよ。
俺、どんどん心を開いて、警戒心を解いているぞ。
映画関連の本も多い。
そうか、シネマフリークの客筋もくるんだな、よしよし。


そして、そして、
映画雑誌が一冊だけ、置かれていたんだけど、
それは、「キネ旬」でもなく、「CUT」でもなく、
そう、あれだ、


「映画秘宝」(洋泉社)


だったんだよ、ジャーン!
表紙に、切り株とか、片腕マシンガン、とかのワードが躍ってるよ。
俺の閉ざしていた心はパッと開かれた。


「僕はここにいていいんだ!」
エヴァ最終回の開放感だね。


「よろしいでしょうか?」
「はい、どうぞ、どうぞ」
一杯のかけそばの親子三人ぶんの安堵感だったね。


この店には、
ジョン・ウー学校や、ブルース・リー学園の生徒さんたちが来てるんだ!
つまり、俺みたいな、
トラビス・モード学院の夜間部に通う座頭市場の労働者が来てもいいってことなんだよ!
すっかり、この店、気に入ったぜ。
よっしゃー、こんど、酒飲みに来るかんな、覚えてろよ、おらおら、こんにゃろめっ!


そうそう、
肝心のランチ、カレーもパスタも美味しくて、ボリュームもしっかりあり、
コーヒー、紅茶、ジュースいずれか付いてる。
この内容で900円なら、とてもリーズナブル度、良し。
ホント、また来よっと。


 晩飯、石狩鍋、仕上げはウドン。スズキの刺身。



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