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■ 11月30日(日)・2008
November 30, 2008 11:16 AM


 寂しいねえ。
初代の新幹線・0系が引退、最後の運行を終えた。


もう、あの先頭車両の丸顔を見ることはない。
そう思うと、ひとつの時代の終わりを確実に感じるよ。
新幹線の絵を描けと命じられたら(←誰にだ? それは置いといて)、
ほとんどの人があのフォルムを描くはず。
それくらいすっかり馴染んでいた存在だ。


幼い頃、
初めて新幹線「ひかり」号に乗った時のこと、はっきり記憶している。
「夢の超特急」というキャッチフレーズ、
そこには憧れ以上に、
俺は、敷居の高さを感じていたようである。
キップを見せられて、
「えっ、乗れるの?」
って親に真顔で訊いたの覚えてるもの。


それは、
ボクのような者でも乗っていいの?
って意味が90%以上含まれていた。
その頃から、肝の小さい、卑下の濃いキャラだったんだなぁ、とつくづく思う。
そうか、そうだったんだ、生まれて初めて、
アイデンティティを自覚させられたのは新幹線0系であったのだ。


うーむ、何やら感慨深いぞ。
自我の認識(アイデンティティ)の延長線上に、
性の目覚めが訪れることは言うまでもない。
その出発駅が、新幹線O系だったとは、実に象徴的だ。
ほら、あのフォルム、まさに男性性器を連想させるではないか。


それに、こんなクイズが昔、流行ったのを覚えているかなぁ、よい子の君たち。
Q:新幹線ひかり号は、男でしょうか、女でしょうか?
A:男です。駅(液)を飛ばすから。


おお、そうなると、土日の中央線も男だな。
でも、車両が赤い。病気か、そういや人身事故多いし。
それに比べ、新幹線は白いし、ビュンッと飛ぶような走りだ。


あと、ご存知だろうか?
新幹線は高速で走るので、安全のために、
レールのゲージ(幅)が、普通の線路よりも広いことを。
そう、レール幅が太い、さながら、勃起のメタファーである。


そうなんだよ、
幼児から少年へと階段を上る頃の俺にとって、
まさしく、新幹線0系は成長と性徴のシンボルだったのである。
そして、今、44年の歳月を経て、レールから姿を消した。
ニュース映像で見たラストランの勇姿は
枯れゆく俺を重ねずにはいられなかったね。


心から言うよ。
長い間、ご苦労様! 
そして、ありがとう!
逞しく、雄雄しい、ほとばしるような熱いエナジーを時代に注いでくれて!


 晩飯。日本の正しい夕食をあつらえてもらう。ヒジキの煮付け。アジの干物。とろろ昆布の椀。ジャガイモの炒め物。



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