本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
天皇誕生日。
御歳、七十五を迎えられた。
また、同日、
東京タワーが開業して50周年、
記念のセレモニーが催された。
この12月23日という日の、
年表を見ていると、なかなか興味深い。
1948年のこの日、
東条英機を始めとするA級戦犯たちの死刑が執行された。
現天皇陛下、(当時は)皇太子殿下が
十五歳の誕生日を迎えられた、
その日に、である。
わざわざ、
その日に、である。
天皇陛下御自身ではなく、
愛息の誕生日に。
連合国サイドの冷酷さが透けて見えてくる、
そう思うのは勘繰り過ぎだろうか。
十五歳といえば、元服の年齢である。
正確には数えの十五であるが、
連合国にしてみれば、欧米式の解釈で、
十五とはあくまでも満十五歳という捉え方になるだろう。
そう、皇太子殿下にとって、
大人への一歩を進めた特別な誕生日でもあるのだ。
このタイミングで、
連合国は、日本に懺悔の儀を突きつけてきたことになる。
さらに、翌日は12月24日、クリスマスイブ。
キリスト教文化圏である西欧にとって神聖なる日。
そう、すかさず、神の意味も問いかけてきたのである。
終戦まで、日本において、天皇は神の存在であった。
その意識を完全に撤廃させる思惑も連合国サイドにあったのだろう。
懺悔と神性、
重い企みの巡らされた2日間。
皇太子殿下の人生において、最も長く辛い2日間であったかもしれない。
それから十年後、
日本は焦土から復活を遂げ、
その最大の象徴であるかのように、
東京タワーが空を突く。
1958年、
この12月23日に、
東京タワー完成の挙行式が行われた。
当時の日本人の暖かい心遣いが感じられてくるのだ。
考えすぎだろうか。
それでも、そう考えた方がいいと思った。
晩飯。豚肉とキャベツたっぷりの鍋。
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