本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
(昨日のつづき、そして、大団円だよーん)
舞台に登場したのは、黒人。
<ボビー>
と名乗る芸人だ。
演歌歌手・ジェロを、
プレス機械でキューブフィギュアにしたような容姿。
既に、怪しく危険な匂いがプンプンと漂っている。
初めて見るコメディアンだ。
漫談とマジックが持ちネタという。
よく見ると、首と手の肌は、黄色系である。
ちょっと珍しい黒人だ。
そして、顔がどことなく立川談笑に似ている。
図体のデカいところも。
声も。
イントネーションはおかしいが、かなり語彙の豊富な日本語で語るのだった。
それも、アトミックボン級なアブナいネタを連発。
ここじゃ、書けねえもんばっかし。
可能なのをちょっとだけ、
「オバマは私タチの誇りダヨ。
歴代大統領ノ中デ、チンポ、イーチバン大きいネ、ゼッタイに!」
「私タチ、黒人ガ、尊敬シテル大統領ハ、
まず、ワシントン、初代の大統領、もと木こりのくせして、それもサクラ専門の。
それから、リンカーン。奴隷解放シテクレタヨ。
そして、トルーマン。****して、戦争を強制終了サセタネ。
オイ、日本人タチヨ、俺ら黒人を差別スルナヨ、
また****サレタイカ、ハハハハハ・・・」
「快楽亭ブラック、ドウシテ、ブラックなのに、白いノ?
ルーシー・ブラックマンも、ドウシテ、白いノ?
オバマ大統領が、住ンデルノニ、ドウシテ、ホワイトハウス、なの?
差別ダヨ! 嫌ガラセダヨ!」
といった感じで、
黒人芸人ならではの、スタンダップコミックをたっぷり披露。
いつのまにか、客席は歓喜の渦に包まれている。
さすが、立川談笑が、
代演として送り込んできたイチオシの芸人だけのことはある。
マジックを演じた際、
予想外のアクシデントが発生。
ボビーがマジックを演じるために、
観客から紙幣を借りようとした。
一万円紙幣じゃないと、出来ないネタらしい。
ところが、
お客さん、サイフの中に、千円札しかない。
ボビー、頭を下げて、
「ゴメンナサーイ、哀シイ想いをサセテ」
さらに、
別のお客さんのサイフを開けてもらったところ、
その人も、千円札のみ。
ボビー、黒い顔(汗をかくと何故か色が褪せる)を赤くして、
「本当にゴメンナサーイ。ココは、哀シイ場所デス・・・」
そして、最後に、ボビーは談笑から預かってきたという手紙を朗読。
紙面には、
トンデモ落語会を退会することの陳謝と、
今まで支えてくれた人たちへの感謝の言葉、
落語家としての飛躍の意思表明が綴られているのだった。
観客たちは暖かい拍手を送る。
舞台では、ボビーを取り囲むようにして、
他の出演者たちが決別の言葉を告げる。
なぜか、それぞれの手には、ムチやパイプ椅子が握られているのだった。
ああ、これで、立川談笑の「ゲロ指南」も「ウンコ指南」も
封印され、二度と観賞できなくなってしまう。
深い悲しみが俺の胸をえぐる。
し、しかし、
ナイスなのは、快楽亭ブラック、
なんと、その二つのネタを譲ってもらうことを舞台上で、
談笑いやボビーから了解を得たのだった。
おお、ブラックには既に「オナニー指南」がある。
これで、
「ゲロ指南」「ウンコ指南」「オナニー指南」
三部作が、一挙上演という至高の企画も夢ではない。
俺の心に、台風一過の晴れ間のような安らぎが訪れるのだった。
さらば、立川談笑!
十数年もの長きにわたって、スパイシーな悦楽をもたらしてくれて、ありがとう!
立派な正統派落語家になるんだよ!
寂しいな・・・、
えっ、でも、ゲストとしては、トンデモに出るんだって?
おお、落語界は縦社会。
兄弟子たちのリクエスト(強制的)には逆らえない。
鬼のようだね、快楽亭ブラック、立川談之助、さすが!
晩飯。ひとり身だったので、たまには、町内のお好み焼き屋にて。
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