本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]

「アラビアのロレンス」
映画館の大きなスクリーンで観るのは実に久しぶりだった。
ビデオやDVDでは、もう何回観たことだろう。
でも、やはり、この作品はスクリーンでなければ収まりきれない。
いや、スクリーンでも足りないくらいかもしれない。
そして、この映画に関しては、
いかなる感想も批評も不要であろう。
以前、スピルバーグやスコセッシの支援により、
デジタルマスター完全版が、
カンヌで特別上映された。
当時、現地入りしていた知人の映画記者が語っていた。
「映画の『格』が違う。コンペ作品も招待作品もすべてが霞んでしまった」と。
今回、俺は水筒!を持参して観賞(もちろん最前列の席で)。
ロレンス(ピーター・オトゥール)が水を飲むタイミングで、
同じように飲むのである。
体感だ。
なんだか、「ロッキー・ホラー・ショー」だね。
最初のあたりで、フェイントをかけてくる。
砂漠のガイドが水を飲まないのを見て、
ロレンスは口に持っていきかけた水筒を戻し、蓋をする。
これもちゃんと体感したぜ。
あと、もう一つ、持参したもの。ポケットに入れておいた。
これだ。
劇中、ロレンスが使っていたのと同じコンパス。
これ、
俺が東宝を退職し、作家専業へと一歩を踏み出した際に、
翻訳家の村上和久氏(現在、「ピラミッド 封印された数列」W・ディートリッヒ・文藝春秋刊、絶賛発売中)から、
贈り物としていただいた貴重な品である(あ、もちろん、ロレンス大佐の遺品ではないよ、念の為)。
改めて、心より御礼申し上げます。
道に迷いそうになった時、このコンパスを見つめて、自分を取り戻す。
そして、以来、
ロレンス大佐の最期と同じにならぬようバイクを運転していない。
って、生まれてから一度も運転したことないじゃん。
免許、持ってないし。
アカバー!
晩飯。アジの刺身。魚肝の酒蒸し。ニンジンのサラダ。
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