本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
いっ平の「林家三平」襲名披露パーティーが賑々しく行われたらしい。
とにかく、プレッシャーにめげず頑張ってもらうことを願うしかない。
桂三木助の前例があるだけに、切に思う。
遺書に、「どーもスイマセン」じゃなぁ。なぁ。
折りしも、俺は一冊の落語本を読んでいた。
立川志らく「雨ン中の、らくだ」(太田出版)。
師匠・立川談志について論じながら、志らく自身の成長を描く。
そう、昨年、話題となった立川談春「赤めだか」(扶桑社)と対を成すような存在だ。
志らくも作中で、その意識を認め、これは
「青めだか」
と称している。
志らく、談春、常に二人が、落語家として比較されるように、
やはり、ふたつの著作は比べられよう。
そして、ほとんどの世評は、
「赤めだか」の方に軍配を上げるだろう。
何と言うか、まっすぐな剛球、本寸法にして正統派、
談春の芸道そのものの照射だからである。
しかし、俺は、
「青」の方、
「雨ン中の、らくだ」の方が好きなのである。
一つは、俺が志らくのファンだからだろう。
独演会に幾度も足を運び、CDも全部もってる。
志らくが映画監督業に乗り出した際、制作費を補うための、
一般に向けての募金に
俺、自分の小遣いの一部(ほんのわずかだけど)を出したし。
(ただし、映画はひどかったなぁ。本人も作中で認めてる)
あと、もう一つ、この本を贔屓にする理由は、
語り口にある。
隙あらば、
くすぐりやギャグをねじこんでくる。
芸道話に感心していると、いきなり笑いを仕掛けてきて、
うっかり吹いてしまう。
サービス精神が効いているというか、
それを読者がサービスと受け入れるかどうかで、評価は変わるだろう。
俺はもう嬉しくて仕方ないんだよな。
笑熱をこじらせたような病的な書きっぷり
それが、たまらなく好きなのである。
ここで脱線気味になるが、
作中で、気になったエピソードを。
志らくが前座の頃、
師匠・立川談志の友人が、店を畳むことなった。
その店は、いわゆるオトナのオモチャなどを扱うアダルトショップ。
そして、談志は「もったいない」主義者。なんせ。「食い物を粗末にするな」(講談社)って著書があるくらいだ。
で、そのアダルトショップの品々が捨てられると聞き、
そいつは「もったいない」と
ぜんぶ貰い受けることを約束し、
前座の志らくがワゴン車で取りに行かされた。
たちまち、談志宅の応接間は、アダルトグッズで占拠される。
そして、来客があるたびに、お土産として持たせて(押しつけ)帰したのだった。
志らくは、ポルノ・カセットテープを大量にもらった。
なぜかといえば、
落語テープをダビングするためである。
それを見た談志は、カンシンし、真似をする。
自分の落語をポルノカセットに吹き込み、
人にプレゼントする。
もらった人は、そういうテープだと知らないので、
名人の落語の後に、
いきなり「アン、ウフン、アヘアヘ」と喘ぎ声が続くので仰天。
これも、談志ならではの演出かと、問い合わせもあったそうな。
でね、
なんで、俺がこのエピソード、気になったかというと、
似たような体験があったから。
親友の遺品のアダルトビデオで。
おっと、
ちょいと本日は長くなったようだね。
なので、その話は、明日。
いや、明日は、既にネタが決まってるんだっけ。ワセダミステリクラブのOB会の報告って。
じゃ、つづきは明後日なっ。
晩飯。牡蠣の味噌鍋、仕上げはうどん。レンコンの甘酢漬け。
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