本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
俺みたいな野良犬稼業に、
毎年、一度はやってくる、この時期。
そう、確定申告である。
ちょいと憂鬱な気分になる。
とにかく不思議だよなー。
何がって、
毎年やってるのに、
この作業、ちっとも慣れず、上達せず、
スイスイ、パッパとスムーズに片付けられない。
これが
憂鬱の原因。
昨年、
どういう順序で、どう判断して、どう進めれば、
手早くこなせるか、
自分なりのマニュアルを作った。
よし、今年はこれで大丈夫と、
俺マニュアルに従ったのに、
なぜか、
申告表の見方を間違えたり、
一箇所の計算ミスから、また最初からやり直したり、
袋ん中に突っ込んでおいた、一年分の領収証の山に翻弄されたり、
いろいろと難儀する。
結局、
朝の八時半から始めて、
途中、昼飯に30分、魚屋へ買い物に15分、
番犬ハチ君の夕方の散歩20分、
計一時間ちょっと中断しただけなのに、
ようやく終えたのは、夜の九時前だったよ。
およそ12時間、いやはや、半日仕事だね。
俺、頭が悪いのか?
「はい」
としか答えようがない。
そうか、これだ、
憂鬱の真の原因は!
年に一度、
自分の頭の悪さを、
真正面から突き付けられる、
それが確定申告なのだ。
だもんだから、
収入額の数字が、
頭の悪さの点数に見えてくる。
さながら、試験の点数だね。
それも、
先生が生徒の採点をしているなら、まだしも、
これは、
先生が作った問題を、先生が回答し、先生が採点をしている、って構図。
で、その点数に、先生がげっそりする、
実にマヌケである。
せめてもの希望の星は、還付金。
まあ、星クズ程度のもんだけど。
ああ、妖星ゴラス級の還付金に激突されてみたい。
って、その前に、
収入アップの問題だろがっ。
あらゆる意味で、
確定申告とは、
己のマヌケな現実、なのである。
来年も、
また、同じことを思うんだろうなぁ。
毎年、そうだし。
晩飯。真鯛が安売りされてたので、ちり鍋に。
雑炊の美味さが優しく心身に沁みてくる。
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