本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
昨春だったか、
悪友の童話作家・ますふじ圭から、
「好きな女性タレントは?」
と問われ、
俺、ぼんやり答えた。
「りょう、とか、真矢みき、とか」
すると、
ますふじ圭の奴、ケラケラ笑いやがる。
「わかりやすいし、進歩がねえでやんの」
奴とは、かれこれ四十年の腐れ縁。
で、奴に言わせれば、
俺の女性の好みはまったくワンパターンらしい。
一つの何か規格があるらしい。
自分自身ではほとんど気付かなかったし、
そう指摘されても、あまり理解できない。
外国の女優なら、
フェイ・ダナウェイ(もちろん70年代の頃の)
これも、奴に言わせれば、パターン内らしい。
何だかモヤモヤしてキモチワルいので、
原点を確認すれば、
少しは理解できるかも。
そう思いつつ、
本日(27日)を楽しみにしていたんだよ。
これから数時間後に、
中学校の同窓会
が催されるのだ。
同級生たちが一堂に会する大規模な宴。
みんな同い齢だよ、当たりめえだよ。
しかし、五十歳の人間ばかりを
いっぺんに150人まとめて見るなんて、
滅多にないだろ。壮観だろうね。
で、その中に、
当時の憧れのマドンナ(古っ)のAさんがいるなぁ、
って、楽しみにしてたんだよ。
そう、原点を確認できる
って、ワクワクドキドキしてた。
そしたら、無情にも、
「Aさんは都合悪くて不参加だよ、アハハハ」
って、
ますふじ圭がわざわざメールしてくるのさ。
嬉しそうに、わざわざね、先月早々にさ。
奴は同窓会の幹事をやってるから、情報に通じてるんだな。
で、しかも、
Aさんのことを、わざわざ調べてきて、
自慢げに、近況を俺に教える。
ちまちまと、もったいぶりながらね。
Aさん、韓流スターのイ・ビョンホンのファンだそうだ。
おお、それなら、
主演映画「バンジージャンプする」、俺、大好きなんだよな。
同窓会で、Aさんに、この話、しっかり語ろうと思ってた。
そしたら、
またも、
ますふじ圭の奴がさ、
「ああ、あの映画ね、ビョンホンのファンの間では、タブー、無かった作品とされてるらしいぜ。お前、それくらい、知っとけよ」
と説教する。
そ、そうなのか、ああ、すんませんでした、俺うなだれるしかねえべ。
まあ、そんな隙だらけだから、
三十五年前、あっさりと秒殺で、俺、Aさんにフラれたんだなぁ。
別の原点を知ったよ。
それじゃ、
同窓会に出掛けるとしよう。
晩飯。サバの塩焼き。初カツオ刺身。冷奴。シラスおろし。
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