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■ 3月12日(金)・2010
March 12, 2010 9:43 AM


昨年から、健康や老化やハチ君の散歩の都合など
いろいろな要因で、
早寝早起きの生活を続けている。
おかげで、定期健康診断では、
この十年間でべストの数値と医師に褒められた。
嬉しい。


しかし、ちょっと悲しいのは、
大好きな番組、
「タモリ倶楽部」や「あらびき団」を
リアルタイムで見られなくなったこと。


もっぱら録画して、
後追いしている。
が、
ついつい貯まってしまうんだな。
録画リストをチェックしたら、
「タモリ倶楽部」「あらびき団」のタイトルがずらずら並んでいる。


なので、
少しずつ消化して、
楽しんでいる。


で、今宵、観賞したのは、
何週間も前のであろう「タモリ倶楽部」。
みうらじゅんさん主催による特集テーマは、
「地獄」


現在、みうらさんのマイブームらしい、
「地獄」
いやはや、面白すぎる。
もう、どの話もツボだらけで、
ホント、来年の鬼のように笑い転げてしまった。


以前、俺なりに「地獄」の勉強をしたつもりである。
というのが、
十年ほど前に刊行された拙作「首断ち六地蔵」(光文社文庫)で、
地獄を題材の一つに扱っているからだ。


しかし、執筆時はどれだけ資料を読んでも、
余裕がなかったんだろうね。
地獄のトレビアを楽しむなんてさ。
ちょっと視座を引いて見れば、
もう笑いのパラダイスなのに。


番組内で、みうらさんが
地獄の拷問をあれこれと紹介していた。
例えば、


煮えたぎる糞尿の熱湯風呂。


ローラー状のもので、身体を押しつぶされ、
紙みたいにされ(漫画だよっ)、
大きな箸で、その肉を少しずつ摘ままれて、はがされる。


鬼が罪人のチンポをブチッと抜き取ると、
また、チンポが生えてきて、
それをまた鬼が抜き取り、
また生えてきて、
また抜き取り・・・この責め苦が延々と続く。


いやはや、もう、俺、何だか無性に嬉しくなっちゃってさ、
昔、資料で使った地獄の本を取り出し、
ちょいと読み返してみたよ。
うんうん、やっぱり、いろいろあるね。
例えば、


金鋏で口をこじあけ、
にえたぎった銅の湯を流し込むと、
肛門から、焼け爛れた内臓が出てくる。


鉄の瓦が夏の雨のように激しく降り、
身体が干肉のように砕かれ、
それらを狐が食い散らかす。


飢えと渇きのため、
自分を食い、
食べ終わると(?)、活き返り、
また自分を食べ、また、活き返り・・・延々と続く。


いやはや、それにしても、
こうした地獄のアトラクションやアイテムはどうやって決められたのだろう?
日本だけでも、いろいろなフルコースがあるようだが、
資料によれば、
平安末期に比叡山で案出されたものが最もポピュラーらしい。


でも、一人の僧侶だけで考案されたんじゃないだろうなぁ。
それはそれで、その僧侶、凄すぎる天才であるけど。
おそらく、いくつもの叡智が結集された、
会議があったのだろう。
地獄プロジェクト会議が。


きっと、広告代理店のようなコンペがあったに違いない。
その手のことを得意とする僧侶たちが、
それぞれ、地獄の残酷な責め苦をプレゼンする。
ちゃんと、巻物状の企画書を配布し、
スライドを映写するみたいに、
大きな墨絵を壁に掲げたりして、
僧侶たちが考え抜いた拷問を力説する。
で、比叡山のクライアントさんたちが、ほほぉ、と目を輝かせる。
そうやって、地獄が決定されたのだと思うのだ。


ああ、その会議の様子を是非とも見てみたいぞ。
もし、俺が「時をかける」力があるなら、
絶対に、
その会議の場にタイムーワープだっ!


 晩飯。カレイの煮付け。マグロ刺身。キンピラゴボウ。キツネ冷奴。



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