本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]

運動会の季節である。
以前だが、
近所の中学校で
運動会の
予行演習が行われていた際のことである。
なかなか賑やかな予行演習であった。
本チャンの運動会当日は
さらに賑やかなのだろう。
なので、外出でもしてようかな、
と思い、
そういえば、当日って、いつなのかな?
訊いてみることにした。
中学校の代表番号を調べて、
電話をかけると、
すぐに、もうホントすぐ、即、
先方が出て、
「はい、**中学校の、教頭の**でございます」
と、挨拶してきた。
教頭、電話の前にずっとへばりついていたという感じだ。
うーん、おそらく、
近隣のあっちこっちから
運動会に関する電話が絶えないのだろう。
俺はとりあえず
「運動会のことなんですが」と切り出すと、
教頭はすぐに、もうホントすぐ、即、
「騒がしくして、ご迷惑おかけして、誠に申し訳ございません」
と、立て板に水の調子、かなり慣れている。
俺は苦情を述べているのではないことを告げてから、
運動会のスケジュールを聞き出した。
何か、こっちも疲れちゃったよ。
教頭も大変だなあ。
思ったんだけど、
おそらく、
教頭は、現場の教師たちにも騒音には気を使うように、
口を酸っぱくして注意していたことだろう。
そして、運動会の当日、
やたらと、ピストルの音がうるさい。
予行演習の時よりも、ピストルを鳴らしまくっている。
勝手に想像するんだけど、
予行演習の間、教頭にしつこいほど注意を受けて、
抑圧を覚えていた現場の体育教師(想像)が
「どうせ、今日だけだもんね、へへん」
と居直って、
バカボンのおまわりさんみたいに
ピストルを撃ちまくって、鬱憤を晴らしているのだろう。
ああ、今頃、
教頭、たいへんだろうな。
なので、
俺、電話をする気にもなれなかったよ。
外出もしなかった。
何か、教頭に付き添ってやんなきゃ、そんな気分だったのかもしれない。
あの頃に比べると、最近の運動会は、おとなしい。
晩飯。週末、いつもの魚屋さんセール。マグロとアジを買って、手巻き寿司。納豆巻き、カッパ巻き。茄子の味噌汁。
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