本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
映画でも、報道でも
いろいろと話題になっている
赤ちゃんの取り違え事件。
考えていると、
あれこれと余計な妄想(狂想)がわいてきてしまう。
こんなふうに。
振り込め詐欺
の被害に遭った八十過ぎの老婆。
その老婆の訴えで、
警察が捜査して
ついに犯人逮捕。
犯人の男について
あれこれと調べていくと、
何と、出生当時の
六十年前に病院で
別の赤ちゃんと取り違えられ、異なる家庭で育てられていた
と判明した。
しかも、
さらに調査を進めると、
本当の母親は
振り込め詐欺の被害者である
件の老婆であった。
母さん助けて詐欺
が、本当に
母さん助けて、だったことになる。
男は釈放された。
六十年ぶりの
母子の感動の再会。
日本中が
暖かい涙と拍手で祝福する。
男が詐欺行為に手を染めたのは
借金苦のあまりであった。
母親から騙し取った(結果的には貰った)金で
債権者に返済できたと言う。
しかし、そのため、
折角、再会できた母子だが、
厳しい貧困に陥る。
それが報道され、
日本中から多くの寄付金が寄せられ、
母子は裕福な日々を送りました、とさ。
その舞台裏・・・・・
実は、最初から、
母と子が仕組んだ芝居であった。
赤ちゃん取り違えは事実だったが、
数年前、密かに母子は再会しており、
このシナリオを練り上げ、演じたのであった。
さらに、
この犯行は
母親が
六十年前に計画し、
わざと病院で、自ら赤ちゃんを取り換えたのであった。
しかし、さらに、
その現場を密かに目撃していたのが病院の看護師。
ずっと胸に秘めていたが、
死の直前に、
自分の息子に打ち明ける。
その息子が
件の男(取り違えられた赤ちゃん)に成りすまし、
男の母親である老婆を騙したのであった。
結局、やはり、
母さん助けて詐欺、であった。
しかし、その老婆も
実は、秘密を知る老婆の妹が成りすましていた。
ホンモノは既に死去。
しかし、死亡届けを出しておらず、年金を不正入手していた。
そして、遺体は今も寝室に・・・・・・
妹は姉を慕うあまり、姉の死のショックで、
自分を姉だと思い込んでいるのだった。
一人で姉と妹との会話を交わす、そんなダブルな人格・・・・・そして・・・
と、まあ、
ミステリはこんなふうに作られてゆく。
「本日の授業はここまで」「はい、質問」「何だ、きみ」「私?」「そう、私」
晩飯。タラのちり鍋、仕上げは雑炊。イカ刺身。
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