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■ 1月14日(火)・2014
January 14, 2014 10:32 AM


そこは、
ちっちゃなスーパーだけど
激安の品揃いなので
重宝している。


んで、
俺はあれこれとカゴに入れて
レジに並んでいた。


レジは入口の自動ドアにわりと近い。
わりと、である。
そうだなあ、だいたい、2メートル弱かな。
目測だと、
1メートル70センチか80センチくらいだと思う。


入口近くの
外には、
特価品が並んでいる。


一人の婆さんが
特価品の一つであるペットボトルの水を手にしていた。


しかし、
スーパーの店内に入って来ない。
いや、入ろうとするが、完全には入らない。
上半身だけ入れて、足は外にある。
その姿勢で身体を無理やり伸ばし、
レジで精算をしてもらおうとトライしているのだ。


何で? 


犬を連れているのだ。


テリア系のちっちゃな洋犬。


店内は動物禁止であった。


それで、
婆さんは自分の上半身だけ店内に入れて
支払いを済ませようと奮闘しているのだった。


前述したように
レジまでわりと近い。
この、わりと、のせいで、
こうしたアクロバティックな買い物が展開されようとしていた。


しかし、なかなかレジまで届かない。あと20センチくらい。
婆さん、もう一歩、踏み込む。
すると足元で
ワンコが店内に入ってしまう。


婆さん、ハッとして足を引っ込める。
開いていた自動ドアが閉まり、ワンコを挟みそうになる。
「わっ!」
婆さんだけでなく、俺を含め、店内から声が上がる。


慌てて、婆さん、また足を前に出す。
自動ドアが開く。
すると、また、ワンコが店内に。
また、婆さん足を引っ込める。
自動ドアが閉まりかける。
「わっ」


これの繰り返し。


婆さんの手のペットボトルがレジに届きそうで、あと少しで届かない。
まるで、
サスペンス映画のワンシーン。


レジ係のおじさんは
レジに並んでいるお客さんの対応で身動きできない。


無理やり伸ばされる婆さんの上半身。
届きそうで届かないペットボトル。
ワンコに襲い掛かる自動ドア。
果たして・・・・・・


レジのおじさんが
奥の倉庫に声をかけ、
在庫整理していた若い店員さんに
外へ出て、婆さんの精算をするよう命じた。


かくして
婆さんもワンコも無事で
80円のペットボトルの精算に幕が下りたのだった。


店内から歓声と拍手が
いやあ、そこまでのことじゃなかったよ、さすがに。

 

 

 

 


 晩飯。鶏つくねの鍋、仕上げはちびまる子ちゃんラーメン。

 

 



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