本格ミステリの傾き者、推理作家 [霞流一 探偵小説事務所]
ノロに関する報道が
沸騰中の折に何だけど、
自分はたいてい何でも食べてしまう性癖で、
賞味期限の表示には
いたって無神経だ。
まあ、ものによるけど、
一ヶ月や二ヵ月くらい過ぎていても
匂いを嗅いで
別に違和感を覚えなきゃ、食っちまう。
以前に、
一年半くらい過ぎたレトルトカレー(肉野菜などの具はない、ルーのみ)を
美味しく、たいらげた。
寝かした分、旨味が増したのかもね。
ほら、
翌日のカレーは美味っていうから、
翌年のカレーもそうなのだろう。うん、ロジカルな見解だ。
そもそも
賞味期限の
賞味の意味とは?
「広辞苑」によれば次の通り
賞味=食物をほめ味わいこと。
そう、特に
ほめる必要が無い場合、
ほめる意志を持たない時、
賞味期限は関係ないということになる。
ただ、よく見たら
生命の危険を告げる
「生味期限」
とあったら、素直に従った方がいいだろう。
常々思っているのは、
賞味期限という数字化されたものに振り回されると、
人間の本来の能力が退化してしまうのではないか?
匂いを嗅ぎ、
安全か否かを見極める自己防衛本能。
これが低下してしまうと思うのだ。
野性の動物は
いちいち賞味期限の表示された獲物や木の実を
食っているわけじゃない。
あくまでも五感と勘で判断する。
逆に考えれば、
われわれ人間も
賞味期限に頼らず、自分の感覚を研ぎ澄ませれば、
古来には持っていたのに
文明に侵されて失ってしまった潜在能力を取り戻せるかもしれない。
さらには、肉体の部位にも影響するはずだ。
かつて、原人の時代に、
我々人類にも生えていた尻尾が再生するのではないか。
尻尾、いいぞ。
ほら、よく言うだろ、
あいつは権力に尻尾を振っている
とかさ、
相手をヨイショする時に尻尾はすごく便利だ。
いいかい、想像してごらん、
あなたの部下が
本当の、本当に、尻尾が生えていて、
それをズボンの穴、前のチャックでもいいや、
そこから尻尾を出して、ブンブン振り回しながら、
「よっ、部長、男前!」なんて近寄って来たら、
気味悪いから、たいてい、何でも頼みをきいちゃうよね。
また、営業マンが
頭をペコペコ下げながら、
チャックからは尻尾をブンブン振り回してたら、
取引先は怖くて、ハンコ押しちゃうよ。
そんなこんなわけだから、
賞味期限なんか気にしないんだな、俺。
晩飯。アンコウ鍋、仕上げはウドン。タコの酢〆。
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